2015年8月18日火曜日

イスラム国

 人間を労働力と見なす資本主義社会では、その労働力に付加価値を付け、高く売るために教育や訓練を受ける。それが良質であればあるほど高く売れる。この仕組みの中で訓練や教育を受けられない者は、いつまでたっても負の連鎖からは抜けられない。
つまり、チャンスは誰にでも平等に与えられているが、産業革命以来300年の時間を経て、資本主義が硬直化してしまい、チャンスのきっかけさえ掴めない人々を大量に生んでいるのが21世紀の現実である。
半世紀ほど前なら、その対立軸として、格差を無くして平等な社会の理念を説く社会主義・共産主義があった。そして、それを基本理念とした国家が実際に存在していた。
従って、その頃の若者にとって、少なくとも西欧的な秩序である資本主義を破壊する「革命」という言葉がリアリティを持っていた。
だが、現在のような時代閉塞の中で、行き場を失った若者にとっては、イスラム教の説く世界観は魅力的に映る。イスラムの聖典コーランの教えでは、徹底した平等を唱えているからである。
さらには、閉鎖社会にいる若者にとって、ISは中東の国境を含めて、資本主義および西欧的な秩序破壊を目指す極めて具体的な「国家」として、若者たちの目に映っている。だからこそ求心力を持っていると言えるだろう。

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